SPECIAL

キャラクターデザイン
大滝那佳さんインタビュー

「いちばんキャラクターを理解する人」になる
掘り下げて作り出すキャラクターデザイン
原作の魅力は?

キャラクターがすごく生き生きとしているところですね。雨隠ギド先生の描く表情が豊かで、中でも目に関する表現がすてきでした。作品全体の雰囲気もキャラクターたちもすごく明るいけど、その中にちょっとした切なさがあって、胸がぐっとなるところがたくさんある。特にしおりの強さに惹かれました。一郎を一生懸命引っ張っていこうとしたり、自分自身で道を切り開いていったり…すごく勇気づけられましたね。

キャラクターデザインの仕事とは?

「キャラクターの統一を図るために、デフォルトを作る」というのが根源かなと思います。アニメ制作ではさまざまな人がそれぞれキャラクターを描いていきますが、みんなが統一した作業ができるように、キャラクター性を出した表情などが伝わるように作っていくことがいちばん主な作業ですね。キャラのさまざまな表情や、立体的ないろいろな角度からの表情を描いていきます。
キャラクターデザインは「いちばんキャラクターの気持ちに沿った人」になれるといいと思っています。「この子はこういう子」というのが、キャラクターデザインを通して制作スタッフの中に統一されていないと、ファンの方にとって違和感のある作品になってしまうんですね。短期間で作るので掘り下げきれない部分もあって反省しきりですが、本作は総作画監督もやっているので、作品を追いながらキャラクターを掘っていくことができているんじゃないかなと思います。作品に1から関わって、作品の深い部分まで突き詰められるのが、キャラクターデザインという仕事の面白さです。

総作画監督の仕事についても教えてください。

キャラクターデザインに応じて複数のアニメーターさんが絵を描くことになるので、やはり書き手によって絵やキャラクターの芝居(動き、表現)がまちまちになってしまうところがあります。そこを統一するのが作画監督の仕事です。かんたんな例で言うと、普段からしおりが大口開けて笑っていたら「しおりはこんなことしない」ときっと思いますよね。そういう風に、キャラの性格に合わせたり、原作の雰囲気を踏まえたりといったことを考えて修正を行います。

本作のこだわりポイントは?

しおりの髪の毛の柔らかさです! できるだけ直線的にせず、毛先をちょっと丸めたり…と気をつけて描いています。特徴的な目の表現はすこし悩みましたが、完成したアニメーションを見ると撮影セクションでいろいろ足してもらっていて、感謝でいっぱいです。
あとは一郎ですね。一郎は強い特徴のないさらっとした顔なので、アニメの表現では一歩間違うとどこにでもいるような子になってしまいます。そうならないように、一郎の芯の強さを表現できるようにできればと思っているので、一郎の表情を見ていただけるとうれしいです。

注目してほしいシーンを教えてください。

前半では、3話の終盤でしおりと一郎が大事な話をするシーンは、いい表情になっていると思うので、楽しみにしてほしいです。後半だとクライマックスのふたりにとって重要な儀式のシーンですね。ラフの段階から私は泣いてしまいまして…。声優さんたちの芝居も聞かせてもらったのですが素晴らしいですし、絵も素敵に仕上がってきているので、「推せる」回です。
今回、白石スタジオのみなさんが6話と11話に参加してくれているのですが、仕上がりを見て「すごくきれいだな、お芝居もいいな、表情もいいな」と感謝しました。その話数もぜひぜひ楽しみにしていただきたいです!

他スタッフさんとの、制作中の思い出を教えてください。

木村監督はすごく柔らかい印象の方。それから色彩設計の大塚さんがキャラクターデザインにつけてくれた色がすごくきれいで、「いいものにしてくれているんだな」と伝わってきてうれしくなりました。
会社で隣の席に座っている演出の子とよく話すんですが、ふたりで「ここの上がりがいいんですよ!」「え、どれどれ…いいですね!」「ですよね」「気合入れて修正入れます!」とか、「原作のここのシーンいいですよね」「アニメでもいいシーンにしないとね」といったやりとりをしています(笑)。自分たちで良いものを作ろうという気持ちを高めあって、頑張っている感じです。

メッセージをお願いします。

私自身、原作ファンなので、原作ファンの期待に応えられるような作品になればいいなと思っています。頑張って作っているので、楽しみにしていてください!